ラバーズ研究所コラム

横浜に出現する“コンドームケースに住む妖精”のゆるキャラに会ってきた!

横浜に出現する“コンドームケースに住む妖精”のゆるキャラに会ってきた!

今や日本が誇る独自の文化として、国内外のニュースで報じられる機会が増えた“ゆるキャラ”。文字通り熊をモチーフにした「くまモン」、梨の妖精の「ふなっしー」など、そのモチーフは様々だが、なんと“コンドームケースに住む妖精”のゆるキャラがいる……という情報をキャッチ。その真相を探るべく、出現場所とされる横浜を訪れた。

訪れた先は、横浜AIDS市民活動センター。“コンドームケースに住む妖精”のゆるキャラは、ここのマスコットを務めているらしい。

「今日はそのゆるキャラはいますか?」と伺ったところ、「奥の部屋にいますよ。」とのことなので、出てきてもらいました。それがこちら!

名前は「コムちゃん」。誕生日は2000年12月1日(永遠の3歳)で、世界エイズデーの日だ。身長は202cmとかなりの長身で、仕事はHIVの感染予防に貢献することとのこと。コムちゃん誕生のきっかけは何だったのだろうか。

「当時は横浜AIDS市民活動センターが開館して5周年で、世界エイズデーの時期にクラブイベントでHIV検査を行うなど、規模の大きな啓発活動を行っていました。そのときに、『若い人たちに注目してもらうきっかけに』ということで登場したのがコムちゃんなんです」

そう話すのは横浜AIDS市民活動センターの白井美穂さん。なお、コムちゃんが生まれた2000年はまだ今ほどゆるキャラが社会的な注目を集めていない時期。しかし、モチーフがコンドームのコムちゃんは早くから注目を浴び、ゆるキャラブーム生みの親・みうらじゅんさんの『ゆるキャラ大図鑑』にも取り上げられた。

「HIV感染の予防啓発という明確な目的がありましたので、中途半端なものではなく、明確なコンセプトをもったキャラクターにしよう……ということは当時から考えられていたと思います。“妖精”という言葉を使って、コンドームというモチーフをオブラートに包んでいる部分もありますね(笑)」

一緒に写っているのは秘忍者 ジミー・ハットリ。なおジミー・ハットリはHIVの感染拡大防止の為に【予防、治療、支援、理解】という4つの行動の啓発活動をしている。

コムちゃんは活動をはじめてから15年以上。主な活動場所は、毎年夏にかながわ県民センターで開催され、3000人以上が参加する「AIDS文化フォーラムin横浜」や世界エイズデーのキャンペーンだ。そのほか区役所や大学での啓発活動に登場することもあるそう。


世界エイズデーのキャンペーンで、街頭で活動するコムちゃん

「永遠の3歳とはいえ、もう15年以上も仕事をしているので、あまり無理な活動はさせられないんです(笑)。AIDS文化フォーラムのときに、地方から会いに来てくださったゆるキャラファンの方は『コムちゃんはレアキャラでなかなか会えない』と仰ってました。」

コムちゃんがマスコットを務める
横浜AIDS市民活動センターの活動は?

では、そんなコムちゃんがマスコットキャラクターを務める横浜AIDS市民活動センターはどんな活動をしているのか。

「エイズの予防啓発活動や、横浜市内でエイズ関連の市民活動に関わる団体・個人の支援が主な活動になります。予防啓発については、隔月発行のニュースレター『おーぷん』の発行や、啓発グッズや教材の貸出を行っています。学校教育の中で特別授業を行うこともありますし、世界エイズデーの時期などには街頭で啓発キャンペーンを行うこともありますね。」

隔月発行のニュースレター『おーぷん』など、横浜AIDS市民活動センターで配布している冊子類


センター内では様々な冊子、パンフレットを配布中

では、市民活動に関わる団体・個人の支援というのは?

「センター内にNPOの方が利用できる会議スペースがありまして、そちらを無料で貸し出しています。基本的にはエイズ関連の団体向けですが、セクシュアルマイノリティの支援を行っている『SHIP』さんというNPOも、こちらでカウンセリング活動を行っています。また、『AIDSネットワーク横浜』さんというNPOもこちらのスペースを利用して水曜日の18:00~21:00と土曜日の15:00~18:00に電話相談を受け付けています」

NPOの活動などに関わっていない一般の人は、横浜AIDS市民活動センターに訪れて何ができるのだろうか?

「自由にお持ち帰りいただけるパンフレットもありますし、センターにある書籍をその場で読んでいただいたり、貸出手続きをしてお持ち帰りいただいたりすることもできます。また毎週火曜日にはエイズ夜間検査も行っています(梅毒検査も実施)。受付は18時~19時30分で、予約は不要ですので、仕事帰りや学校帰りにも利用していただきたいですね。」

センターに置かれている書籍の新着のもの。性に関するテーマの書籍を中心に扱う


センター内のソファや椅子に座って読書をすることも可能

なお横浜市健康福祉局 健康安全課の磯部智子さんによると、横浜市で報告されるHIV感染者数・エイズ患者数には近年大きな変化はないというが、「検査を受ける方の人数は減ってきている。」とのこと。

「検査に来たことが他の人に知られること、個人情報が漏れてしまうことを気にされている方が増えているのかもしれません。もちろん保健所で行う検査は無料・匿名ですし、相談の際は声が聞こえないような配慮も行っていますので、気になる方は気軽に訪れてほしいですね。もちろん横浜市外に在住の方でも検査は受けることができます。」(磯部さん)

また近年は、エイズ・HIVに関する教育が学校の授業で一通り行われるようになった一方で、「電話相談を受けているNPOの方に話を伺うと、かなり基礎的な知識を知らず、ネットで見た情報で不安を覚えて相談してくる人も多い。」(白井さん)とのこと。

自分にHIV感染の可能性が感じられたときに慌てないために、また周囲に感染者がいることがわかったときに偏見や誤解にもとづく行動をしないように、正しい知識を身につけることは大切だ。自分から気になることは調べたり、不安を感じたときは相談・検査を受けたりと積極的に行動することを心がけてほしい。

YAAIC 横浜エイズ市民活動センター
http://www.yaaic.gr.jp/

横浜市中区尾上町3丁目39番地 尾上町ビル9階
TEL 045-650-5421 FAX 045-650-5422

センター開館時間:平日(月、水、木、金)13:00~20:00
土曜/祝日 10:00~17:00
休館日:毎週火曜/日曜
※火曜日はエイズ夜間検査のためセンターの業務はお休み

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