ラバーズ研究所コラム

無料・匿名で検査・相談も受けられる東京都のHIV/エイズ対策とは?

2015年に東京都で新規報告されたHIV感染者数は364件、エイズ患者数は71件。この数字は全国で報告されるHIV感染者数、エイズ患者数の約3割を占めているという。

その東京では、どのようなHIV/エイズへの対策を行っているのだろうか。感染症全般への対策やその知識の普及啓発活動などを行っている、東京都福祉保健局 健康安全部 感染症対策課に話を伺った。

まず、HIV感染者、エイズ患者の新規報告件数が全国の3割を占めていることについては、「人口自体が他の都道府県より多い」「若い世代が多く暮らしている」などの理由があるとのこと。ただ、人口比で見てもその件数はかなり多いそうだ。

そして、特に注意してほしいのは若い世代。実際、東京の新規HIV感染者数、エイズ患者数のうち、20 代,30代の占める割合は65.2%にものぼっている。また、性的接触による感染者の割合は90.6%。やはりセックスの際にコンドームを使用すること(また、相手に使用してもらうこと)は大切と言えるだろう。

HIV/エイズについての検査・相談は保健所、HIV専門の検査・相談室及び電話相談で可能

では、東京都では具体的にどのようなHIV/エイズの感染予防対策を行っているのだろうか。

「まず、無料・匿名のHIV検査は保健所の他に、専門の検査・相談室として、新宿にて祝日を除く毎日実施している南新宿検査・相談室(http://www.tmsks.jp/)、立川にて毎週土曜日に即日検査(当日に検査結果がわかる)を実施している多摩地域検査・相談室で受けることができます」

いずれの施設も、検査の際にHIVやエイズに関する色々な相談をすることもできる。相談は、保健所又は「東京都HIV/AIDS電話相談」(03-3292-9090、平日9時から21時まで、土日祝14時から17時まで)でも受け付けているそうだ。

「『検査して陽性だった場合、その後の生活はどうなるのか?』というような質問にもご回答できますし、『家族に感染の疑いがある人がいるが、どうしたらいいか?』という相談にも対応できます。また、相談は電話(東京都HIV/エイズ電話相談・03-3292-9090)でも受け付けています」

診療を行う病院の体制も整備している。都内では44か所のエイズ診療拠点病院、9か所のエイズ診療連携病院を指定し、それぞれに連携・支援・情報共有を行っている。また、HIV感染者/エイズ患者は歯科や透析など出血を伴う治療は受診しづらくなるが、歯科や透析などが身近な地域で治療が受けられる体制をつくるため、研修なども行っている。

「HIV感染者/エイズ患者が安心して暮らせるように、『予防』だけでなく『医療』の部分まで含め、トータルで対策を行っています。誤解にもとづく診療拒否などが生まれないためにも、幅広い医療従事者がHIV/エイズの正しい知識を身につけることは大切です」

HIV陽性者のプライバシーを守り“ともに生きる”ための知識を身につけよう!

以前は「不治の病」のように思われていたエイズが、近年は治療方法も大きく進歩。HIVに感染しても、きちんと検査を受けて、早期発見で治療に入れば、エイズの発症を抑えることも可能になった。

「HIV陽性と分かった後も、これまでどおりに仕事を続け、ごく普通の生活をしている方もいらっしゃいます。そのような方が増えたからこそ、『HIV陽性の事実を周囲に伝えるべきか』『そのことを伝えられた場合、同僚の人達はどのように接するべきなのか』という知識や情報の共有が、現在はとても大事になってきています」

そのため、東京都では『職場とHIV/エイズハンドブック-HIV陽性者とともに働くみなさまへ』『職場とHIV/エイズハンドブック-人事・労務・障害者雇用担当の皆様へ-』というような企業向けのパンフレットも製作・配布している。

なお、本人がHIV陽性の事実を周囲に明かしていないのに、その事実を他の人に話してしまえば、それはプライバシーの侵害になる。そのようなプライバシー・人権についての理解も含め、HIV/エイズについて正しい知識を身につけることは大切だ。

「以前のように『空気感染するのではないか』というような誤解は消えつつあり、近年はHIV/エイズについて、自ら普及啓発活動を行うような方も増えています。一方で、マスメディアがHIV/エイズについて大々的に報じる機会は少なくなっているため、若い世代にはHIV/エイズへの意識も薄まっているとも感じられます。感染予防のための知識を身につけるとともに、HIV陽性者は、ごく普通に仕事をしているし、普通に生活をしているということを、ぜひ多くの方に知ってほしいですね」

東京都ではHIV陽性者向けに『たんぽぽ〔陽性者のためのパンフレット〕』というパンフレットを製作・配布。またHIV/エイズの基本的な知識については『ともに生きるために』というパンフレットで紹介している。いずれもウェブ上で閲覧できるので、興味のある人はリンク先からぜひチェックしてみてほしい。

エイズ対策係発行の出版物 東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/aids/brochure.html

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