ラバーズ研究所コラム

flumpool×okamoto

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「今できることやろう」という気持ち

昨年は多くのミュージシャンにとっても困難の多い年でしたが、10月からスタートした10度目の全国ツアー<flumpool 10th Tour 2020「Real」>でファンと再会したことは、皆さんにとって希望をもたらす出来事だったのではないでしょうか。ツアーの今のところの感想を教えてください。

「今できることやろう」という気持ち

100年に一度とも言われる歴史に残る疫病に見舞われ、飲食業などはもちろん、音楽業界にも苦しい思いをしている人がたくさんいます。誰かのせいにできる問題なら解決しやすいのかもしれないけど、この問題は誰のせいでもない。だからこそ、動ける人が前を向いて進んでいくことが大事じゃないか、という思いがあって。ツアーをしようと決めたのも「今できることやろう」という気持ちが原動力になっています。

一度延期になった公演もありますが、今はツアー自体を中止にすることは考えていません。医療従事者の方々に感謝しつつ、自分たちの立場から見て信じる正義を貫くしかないと思っています。

ツアーをする中で僕たちが一番気にしているのは、ライブに来られない人が悔しさや歯痒さを感じてしまわないか、ということです。ライブハウスでクラスターが発生してしまったこともあって、ライブ会場自体に不安感を持つ人もいますし、今のところ実際の2分の1の収容人数にまで減らして実施していますから、相当な人数の方に我慢してもらっているんですね。ツアーをやるからには、こうした方たちへのケアもしっかり考えようと、メンバーやスタッフと話し合っています。

昨年12月25日には、中学生38名も合唱参加した新曲『大丈夫』をリリースされましたね。

この曲は昨年の1年間、故郷の大阪で出演していたラジオ番組(『FM802 Radio Fields』)の中で作られた曲で、「大丈夫」という言葉は番組のリスナーの方からいただいたものです。

僕自身、活動を休止したときの経験から分かるのですが、人間は苦しいことがあったり、辛い状況だと自分の気持ちを伝えることに臆病になるし、一人で居ることを選びがちです。でもそこで人と会わないと、やっぱり安心感って得られないんですよね。状況が変わらなくても、問題が解決しなくても、誰かが「一緒に考えていこうよ」と連絡してくれるだけで、心がちょっと軽くなる。悩みや寂しさを共有するだけで、意外と前を向けることがある。そんなふうに、一人で苦しんでいる人たちや前を向けない人たちに、音楽の力を使って「一人になっちゃだめだよ」と伝えたいと思いました。

特に去年は音楽が「不要不急」だと言われて、僕も少し弱ったこともあって……その時にも、メンバーやスタッフの存在には救われましたね。

『Real』は2017年12月に活動を休止されてから1年ほどのブランクを経たあとに制作されたアルバムでした。現時点から当時の制作を振り返るとどんな思いがありますか?

「Real」というタイトルは、2019年の年末ぐらいに考えていたものです。声が出なくなって、ありのままの自分をさらけ出せなかったとき、弱音を吐けない自分に対して「もっとリアルにいられるように」という願いを込めてつけました。

今のように社会が大変な状況だと周囲の視線が気になったり、誰かを守るために自分が犠牲にならなきゃいけないこともあるはず。そんなときにも自分らしく、ありのままで居続けるというのは、すごく難しいことです。当時とは言葉の重みや印象が変わったにせよ「ありのままで、自分らしくいる」という意味では、今の状況にも響く部分があるんじゃないでしょうか。

Act Against AIDS 2014「THE VARIETY 22」にも出演

Act Against AIDS 2014「THE VARIETY 22」にも出演

flumpoolさんはAct Against AIDS 2014「THE VARIETY 22」にもご出演されていました。ご自身がHIV/エイズの問題を考える機会にもなったかと思いますが、この企画に参加された背景を教えてください。

このイベントに参加する前はHIV/エイズの問題をそこまで身近に感じてはいませんでしたが、お誘いいただいたことをきっかけに自分なりに勉強して、HIV/エイズはセックスという「愛」の行為で発生する感染症なんだと気がつきました。人を愛することで誰かを傷つけてしまうなんてすごく悲しいし、あってはならないことだと思ったんです。

それと、HIV/エイズは人の手で防げる病気です。最初は自分たちのためだけにやっていた音楽だったけど、デビューから5年以上が経って、音楽の力で多くの人に何かを伝える仕事をするようになった僕たちとしては、こういった「人の手で防げるもの」に対する啓発運動に関わるべきだと思い、参加させていただきました。

ファンはもちろん、flumpoolに関わる人が増えてきた結果として、社会をより強く意識するようになっていたんですね。

そうですね。新しい価値観を提案することは、僕が歌詞を書くときのスタイルと同じなんです。世の中に対して疑問に思うこと、学校では教えられないことを発信したり、提案して行くのが僕たちの音楽だと思っています。

コンドームは「自分も周りも守るもの」

コンドームは「自分も周りも守るもの」

今回、flumpoolがデザインディレクションした携帯用コンドームケースが数量限定で作成されます。この組み合わせは誰もが驚くと思うのですが、最初にオカモトさんからお話があった時、まずどう思いましたか? また話を前に進めるにいたった理由を教えてください。

コンドームと聞くと思い出す印象的なシーンがあって、高校の保健の性教育の授業で、実際にコンドームを触ってみようという時間があったんですね。そのときに、クラスのみんなが「うわー!」って、触りたくない、いやらしいものだ、という扱いをしていて。そのシーンが強烈で、日常にあって当たり前のものなのに、コンドームはどこか恥ずかしいものなんだ、というイメージが残ってしまったんです。なので、このお話をいただいたときにもその時の印象が拭えず、どうしようかと色々と考えていました。

そんなある時、地元の同窓会で同級生の女の子から「この間中絶して、相手ともめて別れたんだよね」って話を聞いて。彼女は「自分が人を殺してしまったような気持ちになってしまう」とすごく落ち込んでいました。この話を聞いたことで、自分もこのタイミングでしっかりと勉強するべきなんだ、と思ったんです。

お引き受けしたのは「これまで愛を歌ってきたバンドの使命」という側面もありますが、あくまで個人的な出来事がきっかけでした。

コンドームの着用率に関連するデータとして、若年層の人工中絶が年間16万件、また年齢関係なく梅毒感染が増加しており、最近はコロナ禍で予期せぬ妊娠に悩んでいる若年層も増えているというデータもあります。

あくまでも数字でしかないと思いつつも、やっぱりショックですね。特に「予期せぬ妊娠」に関するデータは、僕の身近で起きたことともリンクしていますから。僕の目の前に現れた彼女の話は、きっと悲しい思いをしている人たちの氷山の一角なんです。

コロナによってマスクをつけるのが当たり前になりましたが、コンドームも「自分も周りも守るもの」です。あの保健の授業でみんなが毛嫌いしていたコンドームを、むしろ「携帯することがカッコいい」というイメージに変えたいなと思っています。僕たちの音楽を聴いてくれる人たちに対して、新しい価値観をつくっていきたいですね。

携帯用コンドームケースのデザインはいくつか候補があったそうですね。デザインに関してどんな部分を意識しましたか?

携帯用コンドームケースのデザインで意識したこと

flumpoolのグッズのデザインを監修している、ベースの尼川元気にデザインディレクションをしてもらったんです。目指したのは、女性も持ちやすいケース。そのため、ポップでカラフルな色合いになっていて、太陽や愛することの温もりを表現に取り入れました。

もちろん、コンドームは男性が当たり前に持つべきですが、長年の啓発活動があってもこの現状なのだとしたら、女性が自分で自分を守っていくということも大事なことなのかなと思います。

最後にファンの方にメッセージをお願いします。

今は様々な制限があって、従来のように自由に人とつながることは出来ません。ただ、愛をもってつながるコンドームの話や、ライブの現状にも共通して言えますが「つながり合うこと」への問題や壁はいつの時代にもあって、きっとそれを乗り越えてきたのが人類だったと思うんです。実際に、オンラインライブの届け方や見せ方に関しては各々、色んな形で表現されていると思います。

「繋がりづらいからやめておこう」ではなく、工夫やアイデアを持ち合って、お互いが一人きりにならないように、音楽で頑張っていけたらいいなと思っています。お互い諦めずに方法を探って、一緒に伝え合って行けたらいいですね。

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